説明会まで

今のいままで自分は「歳をとって、会社をリタイアしたら田舎に 帰って(実家をあてにして)、のんびりすればいい」と思っていたので、 不動産には全く関心がなかった。

しかし30も過ぎると会社を辞めたいとか、転職したいとか、このままで いいのかとか漠然とした不安を感じるようになり、「買ってもいいかも」 と思うようになった。 ちなみに今の家賃は 195,000円で、誰に話しても「それなら買った ほうが安い」といわれる程の金額だ。

だからといって、通勤時間に2時間もかかったり、大好きなコンサートや 芝居をやすやすと見に行けないようなところに住みたくはなく、そこまで してまで欲しくはないというのが正直なところ。 いってみれば、今の水準(といういい方が正しいかは別にして)を下げる ことなく買うならオッケ-なわけ。 もしかしたら大変贅沢なのかもしれないが、家を持つことと(自分にとって) 精神的に充実した生活のどちらかが大事といえば、圧倒的に後者なのだ。

まぁそうは言うものの不動産に関して知識があるわけでもなく、週末 折り込まれる新聞のチラシをながめて「うーむ」と思う程度であった。

そうこうしているある日、同居人が「コーポラティブハウスがいいらしい」 という情報をどこからか仕入れてきた。 なんでも部屋のデザインが自分達で自由にできるとか、中間マージンが なくてちょっと安いとか、欧米ではけっこーよくあるシステムだとからしい。

早速ネットで検索してみると、かなりの数がヒットした。 もうこうなると、最初のほうにヒットしたやつとか、ウェブのデザインが 分かりやすくて上品なところを選ぶしかない。 や、実際にはもう少し真面目に、しっかりしてそうなところを選択基準に したのだが、基本線はそういった曖昧なところだ。 そうして選ばれたのが 都市デザインシステムという会社だった。

この会社の友の会に入会すると(入会のためには年収とか住みたい地域を 答える必要がある)、新規物件が出てきたときに案内がくるらしい。

入会して数カ月たった8月のある日、自分たちがいいと思える物件の 案内がやってきた。

それは駒沢と目黒だった。

会社にも遊びにも近く、ロケーションは申し分ない。 目黒には住んでいたので土地勘もそこそこある。 早速会社に連絡をし、両方の説明会に出席することにした。

説明会に出るのは初めてだったので、「コーポラティブハウスとは何ぞや?」 という説明も聞かねばならないらしい。 しかも日程の関係で、どちらの説明会でも聞かなくてはいけなくなった。 どのくらいの時間がかかるかさっぱり分からないが(普通のマンション すら見に行ったことがなかったので)、まあとりあえず行ってみよう と思うことにする。