今年のベスト
- 黒猫・白猫 (98年 仏・独・ユーゴ合作)
- ポーラ X (99年 仏・独・スイス・日合作)
- 白痴 (99年 日)
- 御法度 (99年 日) 丸の内プラゼールにて
払ってもいい値段 1600円
「すばらしい」という人と「つまらない」という人に意見が分かれているのも分かるような映画だった。
ぼくは「つまらない」という先入観をもって見たため、そう思ってみれば十分楽しめた。
より深い意味の解釈をする人もいたりして、それはすごく納得できるんだけど、それならばやはり
ちょっと分かりやすすぎるというか説明しすぎているように思えなくもない。
そういうより深く読む人のためとそうでないエンタテイメントとしての間を取った感じなのだろうか?
大島渚のリハビリだと併せて考えればとりあえず十分なのか。
- ブレア・ウィッチ・プロジェクト (99年 米) 銀座東劇にて
払ってもいい値段 1200円
なにかと話題の映画だけれど、ホラー映画の一つとして見に行くとはずすと思う。
なにが恐いのかは見ればわかるけれど。
ぼくとしては女の人が最初はわがままな感じなんだけど、だんだんと恐怖のあまりにヒステリックに
なってしまうところはあまりにありがちで、「お前が悪いんじゃ」とついついつっこみたくなり、
恐いと思えないところもあった。
最もこの映画は恐怖というよりも撮影手法とかインターネットなどとのメディアミックスなところが受けて
いるんだなぁと思えなくもないところがところどころ感じられた。
- 橋の上の娘 (99年 仏) ル・シネマにて
払ってもいい値段 1600円
なんとなく久しぶりにル・コントの映画が見たくなり。
エロティックながら切ないストーリーは彼らしい気はした。
でもギリシャとトルコに離れ離れになったはずなのに再会できるとはうまくいきすぎでちょっと引いた。
そうでなくとも最近のぼくの嗜好とはちとずれているようだ。昔はこういうの好きだったんだけど。
それは主役のダニエル・オートイユに感情移入できないからかも。
もう少し情けない役のほうが似合うかな、やっぱり。
大人になったヴァネッサ・パラディは美人でした。
- ポーラ X (99年 仏・独・スイス・日合作) シネマライズ渋谷にて
払ってもいい値段 4000円
久しぶりのレオス・カラックスはかなりのインパクトあり。
オーラとパワーのみなぎる映像はのっけから鳥肌が立つほどの衝撃だった。
2時間超も気にならない。
ストーリーはちょっと突拍子もないところがあるんだけど、そんなのはお構いなし
というか、そこが本質じゃないよね。
ドパルデュー息子は鼻の大きさは父親似だが、全体的はわりとすっきりしてる。
これから父親に似ないことを望むのみ。
とにかく DVD が出たら買わないと。
- 白痴 (99年 日) 新宿ピカデリ−3にて
払ってもいい値段 2500円
日本映画を馬鹿にして見ない人は是非みてほしい(嫌いな人はみなくてもいいけど)。
ストーリーだけでなく映像がすごく美しい。お金のすごくかかっている(と思われる)セットも見る価値あり。
出演陣が豪華(ちょい役のゲストがすごい!)だけでなく、みんながキレた演技なんだけど、ぐっと抑えた感じがする
ところもいい。
やや宗教っぽい展開になっていくところは嫌いな人がいるかもしれないけど。
時間は2時間半ぐらいと少し長いけれど、その長さは全く感じなかった。
エンドロールに流れる橋本一子の音楽を聞いてついつい涙腺がゆるんでしまった。
- MATRIX (99年 米) 丸の内ピカデリー2にて
払ってもいい値段 1500円
みんなが面白いと連発するのでやっと見に行きました。もう空いてるかと思ったんだけどまだまだ混んでました。
まあ割と面白いと思ったのは事実なんだけど、ハリウッドっぽいハッピーエンドとか恋愛が入ってるところは
興ざめ。これがなかったらなぁと思うことしきり。
あと派手すぎる SFX とかドンパチとか。筋としては面白いと思うので、ちょっとやりすぎかと。
どうしてもハリウッド大作です、みたいなとこがぼくとしては引いてしまう。
もっと低予算で金より頭使いましたってところがあるとよかったと思う。
筋が派手さにかき消されてしまう感じがどうしてもする。
ワーナーは今後シリーズにするらしい。どうしたものか。
- ラン・ローラ・ラン (98年 独) シネマライズ渋谷にて
払ってもいい値段 1000円
いつも混んでいて、やっとこさ見た。が、待ってみるほどではなかった。
立見とか30分ならんだりとかしなくてよかったと思う。
映像の疾走感はあるんだけど、ちょっとギミックに走りすぎたところもあるし。
音楽は雰囲気にあっていて効果的ではあるけれど、それだけって感じ。
なにが一番よくないかというとやはり筋。
ちょっとしたことで運命は変わるものだというのは分かるけれど、ちょっと安易だし。
ハッピーエンドはだめだといわないけど、予想できすぎで、じんと来ない。
本編は1時間20分ぐらいなのだが、2時間ぐらいに感じた。
- 黒猫・白猫 (98年 仏・独・ユーゴ合作) シャンテシネにて
払ってもいい値段 5000円
「アンダーグラウンド」の監督、エミール・クストリッツァの新作といったら期待しないわけには
いかないでしょう。
「アンダーグラウンド」と比べると政治色っぽいところはなくて、純粋なエンタテイメントとして
十分楽しめる。エンディングもはっきりしているので、ハリウッド映画好きにも安心してお勧め
できる。
筋としては、ついつい「アンダーグラウンド」と比べてしまうけれど、結婚式とか家族を取り上げて
いるところとか、結構似たような場面は多い。あと音楽も。
エンディングははっきりしていると書いたけれど、少々やりすぎっていう感じもする。
でも今のところ、今年一番面白かった映画。
- π (97年 アメリカ) シネマライズ渋谷にて
払ってもいい値段 1200円
ぴあを見てすごく期待していったんだけど、それほどでもなかったような。
映像の感じはリンチの「イレーザーヘッド」っぽくて(荒い白黒の映像など)、
謎っぽいところはキューブリックの「2001年宇宙の旅」ぽい(と僕は思いました)。
数字を扱ってるところは「CUBE」っぽいかも。
でも、いずれも「ぽい」だけで、なんか借りもののような気も。それぞれの本物
みてるほうがいいなあ、やっぱり。
もう少しぐっとくるかと思ったんだけど。
あんまりいいこと書いてないけど、こういう映画は基本的には好きです。
音楽は Massive Attack やテクノが全般に使われてて気持ちいいが、それだけでは、ね。
- アドレナリンドライブ(99年、日本) シネアミューズにて
払ってもいい値段 1200円
久し振りの日本映画。ストーリーはヤクザの金をネコババすることで出会ったカップルが逃げていって、
最後はうまくだまして金を手に入れる、そんなありがちな話。
映画そのものがかなり話題になっていたので、もっとひねりがあるのかな?と思ったけど、かなり
ふつーの展開だったと思う。その部分が残念。
が、割と退屈にはならなかった。やはり安藤政信の演技がよいからかな?
個人的な興味としてはジョビジョバが気になったんだけど、もっとからみがあるとよかったな、
アドリブとしか思えないような演技が面白かっただけに。
石田ひかりはちとつらかった、痛いって感じ?でもダメじゃない。
髪型は今よりもいい(笑)。
- セレブレーション(98年、デンマーク) ユーロスペースにて
払ってもいい値段 1400円(前売料金)
父親の還暦パーティに集まる兄弟たちが引き起こすドラマということで、ゴッドファーザーみたいな
「家族愛」を想像させるが、それとは全く逆。長男の告白でパーティは騒然と。騒然といっても、
よくありがちなドタバタではなく、淡々と家族が崩壊していく感じ。
たぶん、もともと家族は崩壊していて、それが明確になっただけなのだと思う。
仲良くしているのが家族とも思っていないんで、それほどショッキングな内容ではないんだけど。
もっともパーティなんかやっちゃうほうがおかしくないか?そう思うのは日本的?
この映画は「ドグマ95」という映画の手法にいろいろな制約を加えた集団の第一作目らしい。
そのためか、映像そのものはシャープで若々しい。まあ若い監督だとこうなっちゃうんだけど。
でもハリウッドの「どうだ」っていう映画よりは観ていられる。
音楽が一切ない(これも制約の一つらしい)んで、単調に思えるかもしれないが、それがかえって
映像にリアルさを加えていると思う。
- 永遠と一日 (98年、ギリシャ・フランス・イタリア合作) シャンテシネ2にて
払ってもいい値段 1800円(正規料金)
アンゲロプロスの最新作。そろそろ空いてるかと思っていったけど、8割ぐらいは埋まってた。
やはり昨年のカンヌを制しているからか。
この監督の作品は「こうのとり、たちずさんで」しか見ていないのだけど、そのときの静かだが
退屈させない映像はいいと思ってた。今回も予想どおりというかそれよりもよかった。
主人公である老詩人が妻との思い出の場面に戻ったり、生涯追いかけていた詩人のことを考えたりする
ときに主人公はそのままの姿で入っていくのだが(つまり、妻は若くて、主人公は老人のまま)、それが
全然不自然でない、シーンの切替かたもファンタジックでうまいと思う。
もう一人の主人公である少年もかわいかった。
それにしてもたった一日の話なのに、いろいろなことがあるもんだな。
- CUBE / Elavated (97年 カナダ) キネカ大森にて
払ってもいい値段 1800円(たぶん正規料金。実際はセゾンカードで割引してみた)
昨年六本木で上映されていたもの。もっと早くみておくべきでした。
クローネンバーグ、リンチあたりが好きで、みてない人はすぐにいこう。
もっとストイックに進んでいくともっとよかった。
- ビッグリボウスキ (98年 アメリカ) シネマライズ渋谷にて
払ってもいい値段 1800円(正規料金)
コーエン兄弟の新作。かなり笑えました。や、単純に笑えるのとは違うんですけど。
ウォルターは友達にほしくないですね(笑)。おもろいけど。
映像の色はぼく好み。ちょっとジャッキーブラウンに近いものがあるかなあ。
いくつかストーリについて、いっしょに見に行った人と記憶が違ってました。
ここで明かすのもあれなんで、だれか連絡ください(笑)。
- バンディッツ (97年 ドイツ)SPACE PART3 にて
払ってもいい値段 1500円/1800円
ストーリはわりとありがち。そんなにうまくいっていいんですか?っていうほど
分かりやすい展開。みんなキュートですし。楽しくみれます。
- 愛の悪魔/フランシスベイコンの歪んだ肖像 (98年 イギリス)シネマライズ渋谷にて
払ってもいい値段 1700円/1800円
ピータグリーナウェイと同じイギリスの臭いというか映像の色と、デヴィッドリンチ
のような演出がうまくかみあわさっていて結構気持ちいい。
ストーリがハッピーエンドでないといかんとか、起承転結がないといかんという人は
見ちゃだめ。
音楽は坂本龍一。スネークアイズよりはきっといいと思う。